目塞きの図
夷語に是をヒンラリツプと称す、ヒンは物のすき
まあるをいひ、ラリはふさくをいひ、プは器も
のをいふ、すきまをふさく器といふ事なり、
夷人の舟は釘を用ひす、ミな縄にて縫ひ
あハするゆへ、いつれ板と板とのあひたすき
まある事也、それを此図に出せる苔を下に置き、
その上に木をあて、縄にて縫ひ合る也、
苔は草とたかひ、物のすきまなとにあつる
にはいとやハらかにて、 本邦の工家に
用る巻桧皮<俗にまへはたといふ>と同しさまに用ひらるゝ
ゆへに、是をよしとする也、苔を夷語にムンと
称す、ムンはもと草の事なるを、夷人苔をも
まあるをいひ、ラリはふさくをいひ、プは器も
のをいふ、すきまをふさく器といふ事なり、
夷人の舟は釘を用ひす、ミな縄にて縫ひ
あハするゆへ、いつれ板と板とのあひたすき
まある事也、それを此図に出せる苔を下に置き、
その上に木をあて、縄にて縫ひ合る也、
苔は草とたかひ、物のすきまなとにあつる
にはいとやハらかにて、 本邦の工家に
用る巻桧皮<俗にまへはたといふ>と同しさまに用ひらるゝ
ゆへに、是をよしとする也、苔を夷語にムンと
称す、ムンはもと草の事なるを、夷人苔をも
アイヌ語でヒンラリツプという。ヒンとは物に隙間があることをいい、ラリは塞ぐことをいい、プは器物をいう。「隙間を塞ぐ器物」ということである。
アイヌの舟は釘を用いず、すべて縄で縫い合わすので、どのみち板と板とのあいだに隙間ができるのである。それをここに図示した苔を下に置いてその上に木をあてて、縄にて縫い合わせるのである。苔は草と違って、物の隙間に詰めるのはとてもやわらかいので、日本の工芸家が使う巻桧皮<まきひわだ=俗に「まへはた」という>と同じように用いるので、そのすぐれていることがわかるのである。
苔をアイヌ語でムンと称する。ムンはもと草のことであったのを、アイヌの人びと苔も
アイヌの舟は釘を用いず、すべて縄で縫い合わすので、どのみち板と板とのあいだに隙間ができるのである。それをここに図示した苔を下に置いてその上に木をあてて、縄にて縫い合わせるのである。苔は草と違って、物の隙間に詰めるのはとてもやわらかいので、日本の工芸家が使う巻桧皮<まきひわだ=俗に「まへはた」という>と同じように用いるので、そのすぐれていることがわかるのである。
苔をアイヌ語でムンと称する。ムンはもと草のことであったのを、アイヌの人びと苔も
































































































