アツカプの図
アツトシを製するには、夷語にヲピウといへる木の
皮を剥て、それを糸となし織事なり、またツキ
シヤニといへる木の皮を用る事あれとも、衣に
なしたるところ軟弱にして、久しく服用するに
堪さるゆへ、多くはヲビウの皮のミをもちゆる事也、
こゝに図したるところは、すはハちヲヒクの皮にして、
山中より剥来りしまゝのさまを録せるなり、是を
アツカフと称する事は、すへてアツトシに織る木の
皮をさしてアツといひ、カプはたゝの木の皮の事
にて、アツの木の皮といふ事也、此ヲビウといへる木は
海辺の山にはすくなくして、多く沢山窮谷の中に
あり、夷人これを尋ね求る事もつとも艱難の
わさとせり、専ら厳寒積雪のころに至りて、山
中の遠路ことーーくに埋れ、高低崎嶇たるところも
平になり歩行なしやすき時をまちて深山に入り、
幾日となく山中に日をかさねて尋る事也、其外
夷人男女とも、平日何事につきても山中に入る
事あれは、いつも心にかけて此木を尋るをもて
その習とす、もし尋ね得る時はことーーくに皮を
剥てその麁皮を去り、中の糸筋の通りよき所を
えらひとるなり、
ヲビウの皮は麁皮を去り、指をもていくつにも
さくときは麻の如くにさくるものなり、
これを糸になさんとするに、そのまゝにては皮強く
して糸になし難きゆへ、温泉にひたしてやハら
かになす事、後の図の如し、
皮を剥て、それを糸となし織事なり、またツキ
シヤニといへる木の皮を用る事あれとも、衣に
なしたるところ軟弱にして、久しく服用するに
堪さるゆへ、多くはヲビウの皮のミをもちゆる事也、
こゝに図したるところは、すはハちヲヒクの皮にして、
山中より剥来りしまゝのさまを録せるなり、是を
アツカフと称する事は、すへてアツトシに織る木の
皮をさしてアツといひ、カプはたゝの木の皮の事
にて、アツの木の皮といふ事也、此ヲビウといへる木は
海辺の山にはすくなくして、多く沢山窮谷の中に
あり、夷人これを尋ね求る事もつとも艱難の
わさとせり、専ら厳寒積雪のころに至りて、山
中の遠路ことーーくに埋れ、高低崎嶇たるところも
平になり歩行なしやすき時をまちて深山に入り、
幾日となく山中に日をかさねて尋る事也、其外
夷人男女とも、平日何事につきても山中に入る
事あれは、いつも心にかけて此木を尋るをもて
その習とす、もし尋ね得る時はことーーくに皮を
剥てその麁皮を去り、中の糸筋の通りよき所を
えらひとるなり、
ヲビウの皮は麁皮を去り、指をもていくつにも
さくときは麻の如くにさくるものなり、
これを糸になさんとするに、そのまゝにては皮強く
して糸になし難きゆへ、温泉にひたしてやハら
かになす事、後の図の如し、



































