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"カンヂ": 5 件ヒット
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第5巻, 7ページ, タイトル: |
| 図の如くに木を製し、舟の左右の縁に
とち付てこれにカンヂといへる物をさしこ
ミて舟をこく、
カンヂの図後に見へたり、
是をタカマヂと称す、タカマは跨く事をいふ、
ヂはすへて小なる物の高く出たるは乳の
如くなるをいふ、此タカマヂと称する事、其義
いまた詳ならす、夷人のいふところは、舟を
こくにあはら木のある舟はそれに左右の
足をふミあて、左右のタカマヂにカンヂをさし
こミて、跨り居てこぐ、あばら木のなきハ舟
底に横木をいれ、それに足をふミかけ跨り
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図のように木で作り、舟の左右の縁に綴じつけて、これにカンヂという物を挿し込んで舟を漕ぐ。
<註:カンヂの図はのちに出している>
これをアイヌ語で「タカマヂ」と称する。タカマは跨くことをいう。ヂはとは小さなものが高く突出して乳のようになっているものをいう。これをタカマヂということの意味はまだよくわからない。アイヌの人びとがいうには、「あばら木」のある舟はそこに両足を広げて踏みあてて、左右のタカマヂにカンヂを挿し込んで漕ぐ。「あばら木」のない舟は舟底に横木をいれてそれに両足を広げて踏み
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第5巻, 9ページ, タイトル: カンヂの図 |
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第5巻, 10ページ, タイトル: |
| 是をカンヂと称し、左右のタカマヂにさし
こミて舟をこぐ、カンヂと称する事其義
未た詳ならす、考ふへし、たゞし奥羽の
両国ならびに松前とふの猟船に此具を
用るもありて、くるまかひといふ、これハその
形ちかひに似て、左右の手にてまはしーーー
水をこぐ事、車のめくるか如くなる故、
かくはいへる也、
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これをカンヂと称して、左右のタカマヂに挿し込んで舟を漕ぐ。カンヂと称することの意味はまだはっきりとはわからない。考えておくことにしよう。ただし、奥羽の両国と松前などの漁船にはこのような道具を用いるものがあり、それをくるまかい(車櫂)という。これはその形がかい(櫂)に似ていて左右の手で回すように漕ぐようすが、車が回るようなのでこの名がある。
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第5巻, 33ページ, タイトル: |
| 此図は海上をこぐところ也、其乗るところハ
水伯を祈るよりはしめ、ことーーく走セ舟にこと
なる事なし、二種のうち、前の図はこ
くところの具ことーーくそなハりたるさまを
図したる也、後の図はすなはち海上をこくさま也、
こく時はシヨ板に腰を掛、カンヂを
左右の手につかひてこぐ、其疾き事飛か
如し、カンヂの多少は舟の大小によりて
立る也、アシナフを遣ふ事ハ走せ舟に同し、
是を夷語にチプモウといふ、チブは舟をいひ、
モウは乗るをいふ、舟を乗るといふ事也、但し
ビロウ辺よりクナシリ辺の夷人はこれをこぐの
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この図は海上をこぐところである。それに乗るには水の神に祈ることからはじめ、すべて「走る舟」と異なることはない。
二種類のうち、前の図の舟は漕ぐ道具が完備したようすを図示したものである。あとの図は海上を漕ぐようすである。
漕ぐときはシヨ板に腰をかけて、左右の手にカンヂをつかんで漕ぐ。その早いこと、飛ぶがごとくである。カンヂの多少は舟の大小によって異なる。アシナフを使うことも「走る舟」と同じである。
これをアイヌ語でチプモウという。チブは舟のこと、モウは乗るをいう。「舟を乗る」ということである。
ただしビロウ辺からクナシリ辺のアイヌの人びとはこれを漕ぐとき、
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第5巻, 34ページ, タイトル: |
| 時、二人つゝシヨ板に腰をかけならび居て、左
右のカンヂを一人にて一つつゝ遣ひこぐ事
もある也、これは北海に至るほと波濤の
急激なるも、甚しく舟のかたちも大ひ
なる故、一人にて左右のカンチを遣ハん事の
危きを考へ、おのつから二人にてこく事にハ
なりゆく也、
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二人ずつシヨ板にならんで腰をかけて、左右のカンヂを一人で一つずつ使って漕ぐこともある。これは北の海に行くほど波涛が荒く激しくなるし、舟の形も大きくなるので、一人で左右のカンヂを使うことの危険性を考慮して、おのずから二人で漕ぐことになるのである。 |
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