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"ヲビウ": 3 件ヒット
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第6巻, 9ページ, タイトル: |
| アツトシを製するには、夷語にヲピウといへる木の
皮を剥て、それを糸となし織事なり、またツキ
シヤニといへる木の皮を用る事あれとも、衣に
なしたるところ軟弱にして、久しく服用するに
堪さるゆへ、多くはヲビウの皮のミをもちゆる事也、
こゝに図したるところは、すはハちヲヒクの皮にして、
山中より剥来りしまゝのさまを録せるなり、是を
アツカフと称する事は、すへてアツトシに織る木の
皮をさしてアツといひ、カプはたゝの木の皮の事
にて、アツの木の皮といふ事也、此ヲビウといへる木は
海辺の山にはすくなくして、多く沢山窮谷の中に
あり、夷人これを尋ね求る事もつとも艱難の
わさとせり、専ら厳寒積雪のころに至りて、山
中の遠路ことーーくに埋れ、高低崎嶇たるところも
平になり歩行なしやすき時をまちて深山に入り、
幾日となく山中に日をかさねて尋る事也、其外
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第6巻, 10ページ, タイトル: |
| 夷人男女とも、平日何事につきても山中に入る
事あれは、いつも心にかけて此木を尋るをもて
その習とす、もし尋ね得る時はことーーくに皮を
剥てその麁皮を去り、中の糸筋の通りよき所を
えらひとるなり、
ヲビウの皮は麁皮を去り、指をもていくつにも
さくときは麻の如くにさくるものなり、
これを糸になさんとするに、そのまゝにては皮強く
して糸になし難きゆへ、温泉にひたしてやハら
かになす事、後の図の如し、
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第6巻, 12ページ, タイトル: |
| 此図は剥来りしヲビウの皮を糸になさんとして、先温泉に
ひたしやはらかになすさま也、図のことく温泉の所に持行て、
浅瀬に皮を□し、うへに木をのせ流れさるよふになし、日数
四五日程もつけ置キ、其皮のよくやハらかになるを待て温泉より
出し、湯のあかをとくと洗ひ落して日に□し、是をアツヲン
といふ、アツはアツトシを織る木の皮をいひ、ヲンはやハらかになる事
をいひて、アツやハらかに成といふ事也、かくのことく温泉にひたし
日にさらして糸にさく計になしたるを、いつれの夷人も力の及ふ
限りハ貯へ置事、糧食の備をなし置と異なる事あらす、其皮を
やハらかになさんとするに、もし温泉なき地にてハ、止事を得すし
て常の池沼とふに□す事あれとも、皮のやハらきあしきゆへ
多くは是をなさす、遠方の地といへとも必す温泉の有
所に持行てひたす也、其辛苦せる事思ひはかるへし、すへて
皮を剥あつむるよりこれまてのわさハ夷人男女のわかち
なく、ともーーに為すといへとも、糸につくるより後の事ハ
女子の業にかきる事なり、
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